菓子パンが過食を引き起こす理由
テーマ:菓子パンと過食の関係
突然ですが、あなたにとって菓子パンというのはどのような存在ですか?
一般的な方は「甘くて美味しい」とか「安くて手頃」とか「そもそも菓子パンについてそんなに考えたことない」という方が大半かと思います。
しかし、摂食障害の過食症を抱える人にとってパン、とりわけ菓子パンというのは非常に大きな存在です。
過食症は菓子パンとの戦いといっても過言ではないかもしれません。
もちろん長年過食症に苦しんでいた私にとっても、菓子パンというのは切っても切れない存在です。
では、菓子パンの何がそんなに過食症と関係しているのでしょうか?
菓子パン依存症だった過食症時代
私の過食症時代、菓子パンというのは、「食べたくて食べたくて仕方がないけど食べてしまうとスイッチが入る快楽と恐怖の食べ物」でした。
摂食障害の世界では、食欲が止まらなくなることをスイッチが入ると呼んでいます。
それまで一生懸命食事を調整してしっかりコントロールしていたのに、急に堰(せき)を切ったように凄まじい量を食べてしまうことがあります。それがスイッチが入った状態です。
これは体験したことのない人じゃないとわからないと思いますが、スイッチが入る瞬間って本当に頭の中でカチっというようなスイッチが入るような音がして、頭が完全に過食脳に切り替わります。
テレビのチャンネルを回すような感覚でしょうか。
私の場合は、その過食脳のスイッチを入れてしまう最大の要因となりうる食べ物が「菓子パン」でした。
じゃあ食べなきゃいいじゃん、と思うかもしれませんが、過食症の人は大抵菓子パンが大好物という人が多いんですね。大好物というか、食べずにはいられなくなってしまうのです。
重症になると食べたくもないのに食べずにはいられなくて、泣きながら菓子パンを口に詰め込んだりしてしまいます。
「食べたらダメだと分かっていながらも食べずにはいられない」
何かに似てると思いませんか?
そうです、麻薬です。去年は芸能界でも大変な話題になりましたね。
実は菓子パンには、過食症を招き悪化させ麻薬のように依存しまう原因がハッキリとあるのです。これはしっかりとした研究機関で解明されていることなんですよ。
菓子パンが過食症患者にとって”スイッチ”になってしまう大きな原因は、
パンの原料である精製小麦粉と大量に含まれている白砂糖です。
これは過食症を持つ人だけでなく、摂食障害ではない方にも当てはまることです。では、その原因を詳しくみていきましょう。
原因①白く精製された食品は血糖値の乱高下を引き起こす
普段スーパーやコンビニで気軽に買うことのできる菓子パンに使われている小麦粉や白砂糖は、「精製された」食品です。
ですのでまた食べます。そうするとまた血糖値がガツンと上がり、インスリンによってガツンと下がります。血糖値が下がったのでまだ満たされた気持ちになれません。
お腹が空いたので菓子パンを食べる
↓
一気に血糖値が上がる
↓ インスリン大量放出
一気に血糖値が下がる
↓
またお腹が減る
精製された食品というのは血糖値の乱高下を引き起こすことによって、このように食欲を無限ループ状態に陥らせてしまうのです。だから食べても食べても食欲が満たされません。これが過食を招く要因になっています。
また、この血糖値の乱高下は気分の波を激しくするためにうつ病を招きます。
血糖値急上昇→気分が高揚、攻撃的、興奮状態
血糖値急降下→落ち込み、不安、集中力低下
血糖値はこのように人間の気分や脳の動きにも非常に大きな関わりを持っているのですが、この血糖値の乱高下による気分の激しい波は、脳も身体も疲れさせてしまうため、うつ病や抑うつ状態を引き起こすと言われています。
摂食障害は精神疾患の1つと考えられていますが、摂食障害の人の中にはうつ病などを含めた他の精神疾患も同時に抱えている方がとても多いです。
過食症になり他の精神疾患にかかったか、精神疾患が原因で過食症になったか、鶏が先か卵が先かどちらが先だったかは人によって違うと思いますが、血糖値の乱高下による気分の波は、様々な精神疾患にとって悪影響になっているのは間違いありません。
私の場合は、過食症が最もひどかった時期は、生活の中にも問題が多く気分の落ち込みが激しかったので、過食症とストレスで精神状態も最悪で悪化の一途でした。
血糖値はストレスでも上昇するということがわかっています。
ストレス自体でも血糖値が上がり、そのストレスで過食が増えさらに血糖値の乱高下が激しくなる。
このようなスパイラルに陥ると、本当に感情のコントロールが全然効かなくなります。
私の過食症時代は、数日間元気だったと思ったら、翌朝は立ち上がれないほど気分の落ち込みが激しくなるなど、今思い返すと抑うつ状態だったと思います。
これも血糖値の乱高下によるものが大きかったのではないかと今は考えています。
菓子パンにおいては、精製小麦粉と白砂糖のダブルパンチなので血糖値はジェットコースターのように乱高下してしまいます。
原因②:精製食品は「エンプティカロリー」
上記のように血糖値の乱高下を引き起こす精製食品ですが、精製食品にはもう1つ大きな問題があります。それは栄養があまり含まれていないということです。
本来、米にも小麦粉にも砂糖にも原料の段階ではある程度栄養分が含まれているのですが、精製する時に不純物を取り除く際ミネラルやビタミンも一緒に取り除いてしまいます。
元々糖質の多い食品なのに、そこからさらにこれらの栄養素が取り除かれてしまうと、糖質の塊になってしまいます。精製食品は食べても食べても糖質しか満足に摂取できず身体に必要な栄養素が補えないので「エンプティカロリー(空のカロリー)」と呼ばれています。
では、エンプティカロリーばかり摂取するとどうなるでしょうか?
人間の身体は本当によくできていて必要な栄養素を必要な量摂らないと脳が「まだ食べなさい!」と指令を出すんだそうです。
ですので、糖質のみをいくら食べても十分な栄養を摂ったと脳がなかなか判断してくれず、満腹感をなかなか感じることができないので、結果食べ過ぎに繋がってしまいます。さらに、血糖値が乱高下することにより、満腹感も長く続かずすぐにお腹が空いてしまいます。
こんなことを繰り返しているとどうなるでしょうか?
どんどん太っていき、気分はますますコントロールできなくなります。
これが菓子パンが過食を引き起こしてしまう原因です。
だから、過食症はあなたの我慢が足りないのではないんですよ。
菓子パンの大部分を占める精製小麦粉と白砂糖があなたの過食を引き起こしているのです。
原因③:白砂糖の強い依存性
さらに、白砂糖は強い依存性を持っています。
実は精製された白砂糖はコカインやニコチンと同じか、それ以上の依存をもたらすいうことが複数の研究機関から発表されています。白砂糖には強烈な依存作用があり「マイルドドラッグ」とも呼ばれているほどです。
それは、白砂糖を摂取すると、原因①の血糖値の乱高下が起こると同時に脳の中で幸せ物質と呼ばれるドーパミンが出るためです。
ドーパミンが出ると強い幸福感を感じます。そうすると脳は「白砂糖を食べると幸せなんだ」と覚えるわけです。
人間は快感を求める生き物ですので、どんどんその欲求が強まっていきやがて白砂糖を摂らないと落ち着かなくなるに至ります。このメカニズムはドラッグを使用した時と全く同じで「止めたくても止められない」状態に陥ります。
白砂糖は安価で依存性があり加工しやすい食品のため、食品業界はこぞって使用しています。ですので、普通に生きていても知らず知らずのうちにどんどん砂糖に依存していきます。
「自分は過食もしないし白砂糖依存症じゃない!」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば毎日チョコレートを食べないと気が済まないとか炭酸飲料が欠かせないという方は完全な白砂糖依存症と言えます。
現代はストレス社会のため、そのストレスを癒そうとより甘いものを求めます。ドーパミンのお陰で一瞬はストレスが癒されたような気持ちになりますが、一気に血糖値が乱高下するために、すぐに抑うつのような状態になり、また甘いものを求めます。こうなると、もう砂糖を摂らずにはいられなくなります。
原因④白砂糖はミネラルやビタミンを消耗する
菓子パンが過食症を引き起こす要因はまだあります。
菓子パンに大量に含まれている白砂糖は、強い依存性を持つだけでなく、身体の中で消化吸収するときにも問題を起こします。
白砂糖は身体の中で分解される際に多量のビタミンやミネラルを必要とします。しかも、カルシウムを破壊してしまいます!
そうすると、益々身体の中からビタミンやミネラルが失われてしまい、益々栄養不足になっていき、食べているのに「飢餓状態」となるのです。
恐るべし白砂糖。
菓子パンが私の過食脳のスイッチを入れてしまう大きな要因は上記4つだと考えています。
過食症時代はとにかく菓子パンに完全に依存していて、こうなるともうお腹が空いているとか空いていないとかそういう問題ではなく完全に脳が要求していたので、泣きながら口に詰め込んでしまうような状態が起きていました。
過食症を発症して10年以上計経過していますが、いまだに完治したとは言えない状況です。これからその依存度の高さが分かっていただけると思います。
では、この菓子パン依存症から抜け出す方法というのはあるのでしょうか?
私の過食症は完治はしていませんが、それでも大きな波と小さな波を繰り返しながらもかなり改善はされています。ですので、明日は私の実践と経験を交えながら「菓子パン依存から抜け出す方法・依存しないための対策」について書いていこうと思っています。